2010 Fiscal Year Annual Research Report
固体水素ペレット入射法による粒子供給過程の理論モデルの開発と検証
Project/Area Number |
22860075
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
松山 顕之 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 研究員 (90581075)
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Keywords | 核融合プラズマ / 磁場閉じ込め / 固体水素 / ペレット入射 / ペレット溶発 / 高速イオン |
Research Abstract |
本研究では、核融合炉心プラズマにおける燃料供給手法の開発に関し、高温プラズマ中に入射された固体水素の溶発過程と溶発に伴ってペレット周囲に形成されるプラズマ雲の影響を考慮したペレット入射粒子供給の理論モデルを開発し、実験計測に対する比較・検証を行う。高エネルギー中性粒子ビーム入射(NBI)加熱によって生じる高速イオンが水素ペレットの溶発現象に果たす役割を明らかにするために、プラズマ雲を考慮したモデル構築を行い、大型ヘリカル装置実験の計測結果と比較することで以下の物理的描像が明らかにされた。局所マクスウェル分布で記述される等方的、熱的なプラズマではペレットを溶発させるエネルギー束の大半を熱電子が担い、その際のペレット溶発率は熱電子と溶発ガスおよびプラズマ雲との相互作用によって決まる。これに対し、NBI加熱によって数100keVオーダーの高速イオンが存在すると、これらのイオンが持つ高い粒子エネルギーを粒子間衝突によって減衰させるだけの十分厚い水素ガス・プラズマ雲を形成することができるよう、電子溶発時に比べてペレット溶発率が最大10倍程度まで増加する。このとき、高速イオンの分布関数の非等方性を考慮したモデル計算は、異なるパワーおよび入射方向のNBI加熱に対して、水素ペレットの侵入長、溶発分布、およびペレット溶発の非等方性に伴うペレット入射軌道の偏向距離などについて、大域的な計測と良好な一致を得た。これらの成果によって実験的なペレット入射特性の予測手法の開発が進展するとともに、今後の局所計測との比較も含め、磁場勾配の効果などを考慮した理論モデルの精緻化に向けた研究開発の端緒を得た。
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