2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジアを対象とした応用一般均衡モデルを用いた温室効果ガス削減政策の経済影響評価
Project/Area Number |
22860077
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
藤森 真一郎 独立行政法人国立環境研究所, 社会環境システム研究領域, NIESポスドクフェロー (80585836)
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Keywords | 応用一般均衡モデル / 社会会計表 / データ調整 / 計量経済モデル |
Research Abstract |
気候変動問題が国際的な関心事となり、今後先進国のみならず新興国や途上国でも温室効果ガス排出量削減が迫られる。本研究は、2030年のアジア地域を対象として、温室効果ガス排出量の抑制がマクロ経済に与える影響を示すことを目的とする。そのために、将来社会の可能性を5つのシナリオを用いて示し、シナリオ間で比較を行う。推計には応用一般均衡モデルという経済モデルを用いる。従来の応用一般均衡モデルを用いた温室効果ガス排出量に関連する研究は数多く存在するが、いずれも過去の実績の再現性は確認されていないという致命的な欠点を持つ。本研究はその欠点を克服し、過去の実績の再現性のあるモデル開発を行い、将来推計の信頼性を向上させる。本研究の成果は、アジア地域の今後の温暖化対策政策の検討に広く貢献する。 研究目的達成のために、研究の方法を3つに分ける。第一に、応用一般均衡モデルのパラメータを同定するのに用いるデータベースの作成である。この作成にはこれまで申請者が取り組んできた研究手法を応用する。第二に、計量経済学的手法を用いてモデル内のパラメータの同定を行う。生産者、消費者、資本投資等の主体別で行動を記述する関数を同定する。第三に、第二段階で得られた各主体別の関数をすべて集め経済システム全体の財・サービス・生産要素の相互やり取りをモデル化する。1年目では、これらの作業を1カ国のみについて行い、手法を確立することに重点を置いた。すなわち、ベトナムへのケーススタディを行い、応用一般均衡モデルの過去の再現性に関する研究を行った。また、アジア地域におけるデータ整備等を行った。
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