2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22860078
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山下 晋 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 敦賀本部レーザー共同研究所, 博士研究員 (80586272)
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Keywords | 数値流体力学 / 相変化 / 多相流 / レーザー溶接 |
Research Abstract |
ナトリウム冷却高速増殖炉の実用段階では,伝熱管でのレーザー溶接補修技術の標準化が重要となる.溶接部には熱履歴に起因した残留応力が生じ,構造物の破壊や変形に対して重要な要因となるため,溶融・凝固過程と残留応力の関係を明確にする必要がある.しかしながら,溶融過程における溶融池の界面挙動やその内部の流れ場や物理量の詳細は未だ明らかになっていない.本研究は,この現象に対し,実験に比べ低コスト且つ系統的な検討が行い易い等の特徴を有する数値シミュレーションにより解明することを目指し,シミュレーションコードの開発,溶融池(金属がレーザー入熱により溶融している部位)内部の対流やその他物理量のレーザー溶融機構を明らかにすることを目的とする.この研究目的に対し1年目は,レーザー溶融・凝固シミュレーションを気・液・固の三相流体問題として計算コードを構築した.計算コードは数値的安定性,強靱性,効率性に優れるCIP有限体積法と呼ばれる先進的な離散化モデルを用いた.溶融金属と固体金属及び周囲雰囲気ガス(空気など)との密度差は二千倍程度で数値計算的に非常に困難な問題であるが,各種強靭且つ安定な計算手法により,安定に計算できるコードを開発することができた,また,計算コードの妥当性を検証するために,実際の溶接補修に用いられる300Wのレーザー出力によるレーザー溶融・凝固シミュレーション(レーザーを一定速度で走査させた)を実施し,低パワー密度溶接特有の熱伝導型の溶融池やMarangoni対流(温度勾配等に起因する界面に対する接線方向の流れ)によるレーザー照射点から固液界面へ向かっての放射状の流れ,そして溶融池の走査方向下流側に溶接ビードと呼ばれる波状の界面形状の再現に成功した.以上,本数値計算コードはレーザー溶融・凝固現象解明に向けた強力なツールとなり得る結果を得たと共に,初年度で申請時の目標をほぼ達成することができ本研究の目的達成のための非常に大きな見通しを得ることができた
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Research Products
(5 results)