2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22860083
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小菅 瑠香 国立保健医療科学院, 研究員 (50584471)
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Keywords | 都市計画・建築計画 |
Research Abstract |
医療費高騰や社:会的入院といった問題の解決策の一端として、国は医療福祉施設の機能分化を進めており、病院では平均在院日数の短縮やケアの集中といった変化が起きている。このような背景にあわせて新築病院の個室率は増加傾向にあるが、その利点や不安に対するエビデンス研究は、国内ではほとんど行われていない。本研究は病棟の個室化が運営や環境へ与える諸々の影響を検証することを目的とする。 平成23年7,月に多床室主体病棟から全個室病棟へと移転新築した対象病院で、移転前後において.病床運営および療養環境の2つの観点から(1)患者の転床記録(2)家族の見舞い時閤(3)環境意識アンケート調査を行った。平成23年度は移転後の全個室病棟で調査が終了し、移転前後の調査結果の比較分析を行った。 特に移転後の患者の転床記録調査については、平成23年11月7日から12,月11目の計35日間に亘って、-内科と外科の各2病棟で患者のベッドを動かす都度、看護師にその配置と根拠を記録してもらった。新病院では病床回転率が上がったため1床あたりの入退院回数は増加したが、棟内転床に関しては旧病院と比較してもむしろ減少の傾向にあった。全個室病棟においてステーションからの距離と看護度の相関を分析したところ、特に外科でステーションまわりの患者に対して相関が見られたが、病棟ウイングでは外科内科とも相関は見られなかった。 棟内転床の実態を見ると、外科病棟は依然として手術など治療上の理由により患者をステーションの近くに配置している。いっぽう内科病棟の終末期や、患者からの環境への希望による転床は解消され、他の患者のベッド調整のために病床を動かす例もなくなった。かわりに全個室病棟では有料から無料個室への頻回な転床が発生しており、適切な差額の設定が重要である。 病床管理に関して言えば、全個室病棟では、治療上必要な転床は残るものの、その他の転床を減らす効果が明らかになった。
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