2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22870002
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
下野 綾子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (30401194)
|
Keywords | 遺伝子流動 / 浸透交雑 / 除草剤耐性 / 外来雑草 / 適応度 |
Research Abstract |
農耕地雑草にとって除草剤は極めて強い選択圧であり、多くの雑草で除草剤抵抗性が進化した。なかでもライグラス(Lolium spp.)の発生報告数は多く、深刻な除草剤抵抗性雑草のひとつとされている。本研究はライグラスの除草剤抵抗性遺伝子の拡散リスク評価に寄与できる実証的データを得ることを目的とし、昨年度は抵抗性遺伝子の後代への遺伝、および集団間の遺伝子流動の程度について解析を行った。 本年度は除草剤抵抗性個体の由来を検討するために、国内栽培品種および外国由来雑草のライグラスを用いて以下の解析を行った。供試材料は日本における育成品種3集団、西オーストラリア産小麦混入集団(ASW)、カナダ産春小麦混入ライグラス(1CW)、アメリカ産春小麦混入ライグラス(DNS)、アメリカ産冬小麦混入ライグラス(WW)である。これらの材料について、除草剤抵抗性を付与する遺伝子領域、マイクロサテライト領域、葉緑体trnT-trnL領域の遺伝子型あるいは塩基配列の比較を行った。 遺伝子型頻度に基づくクラスタリングを行ったところ、国内で確認された抵抗性個体はASW、1CW、DNSと同じクラスター、育成品種は別クラスターに配分された。WWは個体によって異なるクラスターに配分された。除草剤抵抗性遺伝子の解析においても同様の傾向が見られ、抵抗性個体は輸入穀物の混入種子由来であることが示された。 昨年度および今年度の結果をまとめると、除草剤抵抗性個体は外国の輸入穀物への混入種子由来であり、穀物輸入港で定着していることが示された。一方で除草剤抵抗性遺伝子の拡散は顕著ではなく、局所的に分布し、それに相応した局所的な遺伝構造が形成されていた。今後はこの局所的な遺伝構造が形成されている理由(生態学的な特性の違い等)を明らかにする予定である。
|
Research Products
(2 results)