2010 Fiscal Year Annual Research Report
顕微鏡画像の多量取得解析とシミュレーションによる孔辺細胞の力学的応答解析
Project/Area Number |
22870004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桧垣 匠 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任研究員 (90578486)
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Keywords | 顕微鏡画像解析 / 気孔 / アクチン繊維 / 小胞体 / エンドソーム / 有限要素法 |
Research Abstract |
本研究では,各種細胞内構造が蛍光標識されたジロイヌナズナ孔辺細胞の顕微鏡画像を多数取得し,細胞サイズの標準化と輝度の加算平均を介した顕微鏡画像解析を実施することで,気孔開口に伴って細胞連結部でアクチン繊維とエンドソームの量が増加すること,逆に小胞体は減少することを見出した.また,気孔開口に伴う細胞連結部の変化を多面的に理解するために,GFP-PIP2aにより細胞膜が可視化された形質転換株を用いて孔辺細胞の連結部における細胞膜構造を立体的に観察した.その結果,気孔開口に伴って孔辺細胞間どうしの距離が短くなり,細胞連結部で力学的な負荷が生じている可能性が示唆された.そこで,実測値に基づいたシロイヌナズナ孔辺細胞の二次元トラス構造モデルを設計し,有限要素法による力学シミュレーションを実施した.孔辺細胞を構成する部材の力学的パラメタおよび拘束箇所の条件を複数検討した結果,(1)実画像に基づいた細胞長軸方向に垂直な表層微小管により構築されると示唆される細胞伸長方向の制限を条件に加えることで気孔開度が高まること,(2)気孔開口を模す変位を示す条件において細胞連結部に強い応力が生じること,が明らかになった.今後の研究の展望として,微小針やレーザーを用いた顕微鏡下における片側の孔辺細胞の切除実験系を構築し,孔辺細胞の力学的負荷を人為的に撹乱させた状況において細胞内構造の動態を追跡できれば.孔辺細胞の力学応答として細胞内構造の分布が変化することをより直接的に証明できると考えられる.
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Research Products
(5 results)