2011 Fiscal Year Annual Research Report
木部細胞分化を制御する細胞膜・細胞骨格間クロストークの分子実体の解明
Project/Area Number |
22870005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 祥久 東京大学, 助教 (30583257)
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Keywords | 細胞分化 / 植物細胞 / 細胞骨格 / 細胞膜 / 細胞壁 / 細胞極性 / 微小管 / ROP GTPase |
Research Abstract |
多細胞生物の発達は、個体を構成する細胞が分化し、様々な形態と機能を獲得することによって成し遂げられます。植物細胞の分化に重要な細胞壁は、細胞膜にアンカーされている表層微小管の配向に依存して構築されますが、細胞膜近傍で表層微小管の配向を制御する分子実体は明らかにされていません。私はこれまでに木部細胞の分化誘導系を独自に開発し、細胞膜に局在する新規微小管結合タンパク質MIDD1を発見しました。MIDD1は細胞膜ドメインにアンカーされて局所的に微小管の脱重合を促進し、その結果として木部細胞特有の細胞壁構造が作り出されることを突き止めました。一昨年度は、細胞膜上に局在する植物特有のRho GTPaseであるROPに着目して解析を行い、MIDD1と共局在するROPを同定しました。昨年度はまずBiFc法とFRET法を用いてMIDD1とROPの相互作用を詳細に検証しました。その結果、MIDD1はROPの活性型(GTP結合型)にのみ相互作用し、木部細胞への分化過程では特定の細胞膜ドメインにおいて相互作用していることが示されました。さらに、ROPのダイナミクスを詳細に解析した結果、MIDD1と同様に、表層微小管のプラス端に顕著に局在し、表層微小管の動態制御に関わる可能性が示唆されました。恒常的活性型のROPを発現させたところ、MIDD1が細胞膜に一様に局在し、木部細胞特有の細胞壁構造が失われました。これらの結果は、ROP GTPaseが細胞内で局所的に活性化することでMIDD1をリクルートし、微小管を脱重合する細胞膜ドメインを形成する可能性を強く示唆しています。ROPを活性化するROPGEFの局在を解析した結果、細胞膜ドメインに局在するGEFを同定しました。免疫沈降および質量分析法によってこのGEFの相互作用因子を探索し、候補因子を得ることに成功しました。
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Research Products
(6 results)