2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン化学修飾制御ネットワークの構築及び作動の仕組みの解明
Project/Area Number |
22870007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 陽平 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 博士研究員 (00588056)
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Keywords | エピジェネティクス / ヒストン / 化学修飾 / 複雑ネットワーク / 頑強性 |
Research Abstract |
研究の成果:本研究の目的は、多種多様なヒストン化学修飾が相互に制御し合うことで生じた複雑システムであるヒストン化学修飾ネットワークが、どのような原理に基づいて構築され作動しているのか、を明らかにすることであった。研究材料として、申請者の所属研究室が独自に保有する、出芽酵母のヒストンのアミノ酸一つ一つに点変異を導入した全439種から成るヒストン点変異株ライブラリーを用いて、化学修飾残基に変異が導入された場合に生じるヒストン化学修飾ネットワークの異常を、表現型の変化として観察した。その結果、ヒストンH3のLys4、Lys36やヒストンH4のLys12,Lys16といった化学修飾残基が、ピストン化学修飾ネットワーク及び生体機能の維持に重要な役割を果たすことを明らかにし、論文発表した。そして、これら機能的に重要な役割を担う化学修飾(機能的ハブ化学修飾)が、ヒストン化学修飾ネットワーク上の他のピストン化学修飾に対して、どのような影響を及ぼすか、を機能的ハブ化学修飾残基の点変異体を用いた化学修飾解析により明らかにする実験を進めた。 意義・重要性等:ヒストンの化学修飾が相互制御を基盤とした複雑ネットワークを形成することを初めて提唱した我々の理論を更に発展させるため、ネットワーク中で機能的に核となる化学修飾の特定に成功した。これにより、従来の研究では説明できなかったヒストン化学修飾システムの環境変化に対する抵抗性の高さ(頑強性)を支える仕組みの解析が可能となった。今後の、ヒストン化学修飾ネットワークの精緻化及び全容解明の端緒となる研究であり、ヒストン化学修飾研究分野にシステム論的解析を導入し、新たな方向性を示した点で意義深い。
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Research Products
(4 results)