2011 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシンによる窒素固定酵素ニトロゲナーゼの活性制御機構の解析
Project/Area Number |
22870009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野亦 次郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (40583216)
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Keywords | 酸素感受性 / レドックス / シアノバクテリア |
Research Abstract |
チオレドキシン(Trx)は光合成を初め様々な代謝系の酵素の活性を調節する重要な蛋白質である。最近、私達は、ラン藻においてTrxが窒素固定酵素ニトロゲナーゼと相互作用するという興味深い結果を得た。しかし、ニトロゲナーゼは酸素高感受性であり、好気条件下では不可逆的に活性を失うため、生化学的解析が非常に難しい。研究代表者は、これまで嫌気実験系を駆使して、ニトロゲナーゼと類似の酸素感受性酵素の解析を行ってきた(Nature 465,110-114(2010))。この研究技術を生かし、本研究では嫌気実験系を用いたニトロゲナーゼの生化学的解析系を構築し、その活性制御機構の解明を目指した。Trx研究では、まだ嫌気実験系を用いた実験例がない。従って、ニトロゲナーゼはじめ、酸素感受性蛋白質を対象としたTrxによる制御システムの解明は、レドックス研究に新たな知見をもたらすことが期待される。本研究ではまず、大腸菌を用いたニトロゲナーゼ大量発現系および活性測定系の構築を試みた。ニトロゲナーゼを構成する2つのコンポーネントのうちの1つ、Fe-蛋白質を大腸菌において大量発現させたが、封入体を形成してしまい精製が困難であった。そこで、分子シャペロンとの共発現を行ったところ、Fe-蛋白質を可溶性発現させることに成功し、精製することが出来た。一方、MoFe-蛋白質は、様々な検討を行ったが、大腸菌において可溶性発現させることは出来なかった。現在は、シアノバクテリアにおける発現系の構築、精製を試みている。
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