2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22870021
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松尾 光一 広島大学, 放射光科学研究センター, 特任助教 (40403620)
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Keywords | 放射光 / 真空紫外 / 円二色性 / 蛋白質 / アミロイド線維 / ニューラルネットワーク法 / 分子動力学 |
Research Abstract |
VUVCD分光法にNN (Neural-Network)法及びMD (Molecular Dynamics)法を組み合わせることで、以下に示すような、非天然蛋白質の精密構造解析を行った。 (1)β_2-microglobulin断片ペプチド#21-29のアミロイド線維に関する研究 β_2-microglobulin(β_2-m)は,酸変性条件下(pH2.5)でアミロイドを形成するが,その断片ペプチド#21-29は,中性条件下でもアミロイド線維を形成(pH6ではanti-parallel型β-sheetをpH8.6でparallel型β-sheet)するため,β_2-mのアミロイド化に重要な役割を担うと考えられている。本研究では,pH8.6でアミロイド化した#21-29のVUVCDスペクトルを測定した後、#21-29アミロイド線維を溶液中でMDシミュレーションし,続いてシミュレートされた構造のCD値をProtpolプログラムにより算出した。その結果、実測値には、ペプチド由来のCDだけでなく、側鎖由来のCDが大きく寄与することが示されると共に、#21-29アミロイド線維の詳細な溶液構造が明らかになった。 (2)ガングリオシド上で誘起されたアミロイドβの分子間相互作用の研究 アミロイドβペプチド(Aβ)はガングリオシド(GM)と特異的に相互作用することでアルツハイマー病を促進することが報告されている。本研究では,VUVCD-NN法を用いてAβペプチド-GM(GM1)複合体の精密な二次構造解析を行い、GM1非存在下ではランダム構造であったAβが、GM1濃度の増加により、β-sheet-rich構造を経てα-helix-rich構造へと変化することを明らかにした。 以上の結果は、アミロイド線維のような非天然蛋白質の精密構造解析にVUVCD分光法が有効であることを示している。
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Research Products
(13 results)