2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミドリゾウリムシと共生クロレラの細胞内共生成立過程に関与する分子の解明
Project/Area Number |
22870023
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
児玉 有紀 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 助教 (80582478)
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Keywords | 細胞内共生 / 原生生物 / ミドリゾウリムシ / クロレラ / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
ミトコンドリアや葉緑体を生み出した細胞内共生は現在でも多くの生物同士で見られ、新たな機能と構造の獲得による真核細胞の進化の原動力となっている。しかしその成立機構は明らかにされていない。研究代表者らは繊毛虫のミドリゾウリムシとその共生クロレラ用いて、真核細胞同士の細胞内共生が成立するプロセスを明らかにした。このプロセスは次の4つからなる。1、クロレラが宿主食胞内でリソソーム消化酵素耐性を示す。2、クロレラが宿主食胞膜から細胞質へ脱出する。3、クロレラを包む食胞膜がリソソームが融合しないPV膜へ分化する。4、PV膜に包まれたクロレラが宿主細胞表層直下へ定着する。本研究は、細胞内共生成立に必須な上記の4つのプロセスに関与する重要分子の解明を目的とした。 今年度中はPV膜に対するモノクローナルの作成を試みた。PV膜特異的モノクローナル抗体は作成できなかったが、ミドリゾウリムシの表層直下に存在しているPV膜以外の全ての構造(トリコシスト、基底小体、ミトコンドリア)に対するモノクローナル抗体が得られた。これらの抗体を使って以下の研究を行った。 1、光学顕微鏡観察によると、共生クロレラはトリコシストの間に挟まるようにして存在しているため、トリコシストを包む膜とPV膜が融合することで、共生クロレラの細胞表層直下への接着が維持されている可能性が示唆された。 そこで抗トリコシストモノクローナル抗体を使い、共生クロレラとトリコシストの位置関係を調べた結果、共生クロレラの表層直下への接着にはトリコシストは必要ではなく、むしろ共生クロレラが接着している部分のトリコシストが除去されることが明らかになった。 2、共生クロレラ、トリコシスト、基底小体、ミトコンドリアはいずれもミドリゾウリムシの表層直下に存在している。これらの正確な位置関係を各種モノクローナル抗体を用いた間接蛍光抗体法で調べている。
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Research Products
(11 results)