2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミドリゾウリムシと共生クロレラの細胞内共生成立過程に関与する分子の解明
Project/Area Number |
22870023
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
児玉 有紀 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 助教 (80582478)
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Keywords | 細胞内共生 / 原生生物 / ミドリゾウリムシ / クロレラ / ダイナミン |
Research Abstract |
ミトコンドリアや葉緑体を生み出した細胞内共生は現在でも多くの生物同士で見られ、新たな機能と構造の獲得による真核細胞の進化の原動力となっている。しかしその成立機構は明らかにされていない。研究代表者らは繊毛虫のミドリゾウリムシとその共生クロレラ用いて、真核細胞同士の細胞内共生(二次共生)が成立するプロセスを明らかにした。このプロセスは次の4つからなる。1、クロレラが宿主食胞内でリソソーム消化酵素耐性を示す。2、クロレラが宿主食胞膜から細胞質中へ食胞膜の出芽によって脱出する。3、クロレラを包む食胞膜がリソソームが融合しないperialgal vacuole(PV)膜へ分化する。4、PV膜に包まれたクロレラが宿主細胞表層直下へ定着する。本研究は、細胞内共生成立に必須な上記の4つのプロセスに関与する重要分子の解明を目的とした。 今年度中は上記のプロセス1と2に関して以下を明らかにした。 1、プロセス1に関して 食胞に取り込まれた一部のクロレラのみが消化酵素耐性を示す要因を明らかにするために、恒暗条件下で培養したクロレラをクロレラ除去細胞に与えたところ、クロレラの大部分は食胞内での消化酵素耐性を失うことが期らかになった。この結果は、クロレラが消化を免れるためには、再共生前のクロレラの光合成が必要である可能性を示唆している。 2、プロセス2に関して 食胞膜の出芽は、クロレラと宿主を混合して30分以降に生じ、墨汁や餌のバクテリアや直径の小さなラテックスビーズは食胞膜から遊離しないが、直径の大きなラテックスビーズや酵母菌は進離できることから、食胞内容物の直径に依存することが明らかになった。さらに、食胞膜の出芽にはダイナミンが関与していることが明らかになった。
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