2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚性幹細胞分化に伴うゲノムの核内高次折り畳み構造変化の分子基盤
Project/Area Number |
22870033
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
平谷 伊智朗 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教 (40583753)
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Keywords | 生物・生体工学 / ゲノム / 遺伝子 / 発生・分化 |
Research Abstract |
哺乳類の発生過程において、未分化な胚細胞は発生・分化に伴って未分化状態から分化状態へとそのグローバルな染色体構造を変える。この構造変化は、細胞のエピジェネティックな変化を表象したものと考えられるがその意義は未だに謎に包まれている。代表者はこれまでに、この「構造変化」が顕著に認められる染色体領域及び発生時期をゲノムワイドDNA複製タイミング解析と蛍光顕微鏡解析及び電子顕微鏡解析を併せて解析した結果、マウスES細胞がpost-implantation epiblast様細胞(EpiSC細胞)に分化した時点で大きな染色体構造変化が起こることを見出した。 本研究では、この変化が未分化細胞から体細胞への分化における重要な分岐点であるという仮説に立脚し、その分子基盤を明らかにすることを試みた。具体的には、マウスES細胞のEpiSC細胞への分化系を確立し、siRNAスクリーニングの実験系を確立し、ES細胞のEpiSC細胞への分化を阻害する因子をsiRNAスクリーニングにより同定することを目標とした。今年度は、このうちsiRNAスクリーニングの実験系を確立した。一方、マウスES細胞株BRC6のEpiSC細胞への分化の系は培養中にX染色体が抜け落ちるという問題が生じ、分化の重要な指標の1つであるX染色体不活性化の検出に困難が伴ったため中断している。代替案として、雌の培養細胞株を用いて不活性X染色体が解除されることを指標にsiRNAスクリーニングを行うことを考え、そのような実験系の確立を急いでいる。現在、X染色体上のHprt遺伝子発現を利用した薬剤耐性とX染色体の複製タイミング変化を指標にこれが実施可能であるという感触を得ている。
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Research Products
(3 results)