2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能蛍光顕微鏡技術を用いた間期細胞核のクロマチン高次構造の解析
Project/Area Number |
22870042
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
松田 厚志 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究センターバイオICTグループ, 専攻研究員 (20585723)
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Keywords | 遺伝子 / 発現制御 / 生物物理 / 画像 / 生体生命情報学 |
Research Abstract |
本研究の目的達成には、新しい技術である超分解能蛍光顕微鏡手法の3D structured illumination microscopy(3DSIM)で真核生物クロマチン繊維を、可能な限り生体内に近い条件で観察する技術を確立することが必要であった。特に生物材料に用いる分裂酵母は、生体に近い実験条件で抗体染色を行うために細胞壁消化を行うと、細胞核が萎縮し、観察に適さなくなった。また、細胞壁消化によりガラス面への吸着力が減少するため、観察に用いる細胞体のカバーグラスへの固定化が非常に困難であった。細胞核萎縮の問題は細胞壁消化の抑制や、浸透圧変化の減少により解決できることを見いだした。細胞体のガラス面への固定化は、ゲル化するマウンティングメディアムの使用や、マウントに用いる液量を極端に抑えることで可能になった。 このような方法で分裂酵母の間期クロマチン構造を3DSIMで観察すると、クロマチンは130nmの比較的大きな繊維状の高次構造を形成していることが明らかになった。3DSIMの分解能が約130nmであるため、実際の繊維の径はこれより小さい可能性がある。今回観察された繊維は、生理的条件下で観察された初めてのクロマチンの高次構造であり、電子顕微鏡を用いた先行研究により観察されていた哺乳類細胞の約100nmの繊維状構造と同等の高次構造であるかもしれない。また、遺伝子発現部位に局在するヒストン化学修飾H3K4me2の染色により、転写活性化部位が同様の130nm以下の繊維状構造を形成していることが明らかになった。さらに、特定の遺伝子座の高次構造を明らかにするため、蛍光により同定が可能なlacI-GFP発現株を用いて、lacO配列が挿入されたクロマチンの位置同定を行っている。
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Research Products
(7 results)