2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学的および生化学的解析によるTSWV粒子構成因子間の相互作用様式の解明
Project/Area Number |
22880001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
薦田 圭介 北海道大学, 大学院・先端科学研究院, 特任助教 (40581640)
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Keywords | ウィルス / 蛋白質 / X線結晶構造解析 / TSWV / Nタンパク質 |
Research Abstract |
トマト黄化えそウイルス(Tomato spotted wilt virus:TSWV)は,単子葉・双子葉植物を問わず1,000種類近くもの広範囲の植物に感染し,特にナス科,マメ科などの主要農作物に甚大な被害を及ぼしている.そのため,ウイルス増殖に関する基礎的な知見を蓄積し,効果的な防除法を開発することが喫緊の課題となっている.本研究は,ウイルスRNA合成に中心的な役割を果たしているN蛋白質を中心として,ウイルス粒子構成因子間の相互作用様式を解明することを目的としている.今年度は,N末端にHisタグを融合させたN蛋白質を大腸菌で発現させたところ,大部分のN蛋白質を可溶性画分に回収できた.次に,Niアフィニティークロマトグラフィーを行った結果,共雑蛋白質をほとんど含まずに精製することに成功した.しかし,核酸の混入が確認されたため,ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを行って,核酸を除去した.最後に,ゲル濾過クロマトグラフィーを行った結果,N蛋白質が2-4量体を形成していることが示唆された.今回は,N蛋白質同士の会合様式の知見が得られると考え,単量体化はせず,そのまま結晶化を行うこととした.市販の結晶化スクリーニングキット194条件を用いて結晶化を行ったところ,内5条件で結晶が得られた.さらに結晶化条件の最適化を行い,一辺400um程度の結晶を得ることができた.いくつかの結晶にX線を照射した結果,分解能は最大で7Åと低かったものの,空間群を決定することができた.次年度は,結晶化条件の更なる検討により,分解能の向上を目指すと共に,NP・RNA複合体,NP・他の構造蛋白質複合体での共結晶化を行い,構造解析を試みる.
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