2011 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学的および生化学的解析によるTSWV粒子構成因子間の相互作用様式の解明
Project/Area Number |
22880001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
薦田 圭介 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 特任助教 (40581640)
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Keywords | ウィルス / 蛋白質 / X線結晶構造解析 / TSWV / N蛋白質 |
Research Abstract |
トマト黄化えそウイルス(Tomato spotted wilt virus:TSWV)は,広範囲の農作物に感染し,特にナス科,マメ科などの主要農作物に甚大な被害を及ぼしている.そのため,ウイルス増殖に関する基礎的な知見を蓄積し,効果的な防除法を開発することが喫緊の課題となっている。本研究は,ウイルスRNA合成に中心的な役割を果たしているN蛋白質を中心として,ウイルス粒子構成因子間の相互作用様式を解明することが目的である.前年度,N蛋白質(Native体)の結晶について,7A程度の分解能しか得られていなかったが,本年度,精製バッファーの検討を行った結果,良質の結晶を調製することに成功し,分解能約2.8Aの回折データを得ることができた.また,N蛋白質(セレノメチオニン置換体)の回折データも得られたため,位相を決定し,構造解析を行う事ができた.現在,精密化の途中であるが,(1)N蛋白質がリング状のホモ三量体を形成していること,(2)N蛋白質のN末端,C末端のアーム状領域がそれぞれ隣のN蛋白質分子と相互作用していること,(3)N蛋白質三量体リングの内部が高い正電荷を有していることなどが明らかとなった,そのため,N蛋白質リングの内部にウイルスゲノムRNAが結合すると推測された.今回得られたTSWV N蛋白質の構造は,既報の別種ウイルス(例えばTSWVの類縁ウイルスであるRift Valley Fever Virus)のN蛋白質とはあまり類似しておらず,新規の構造と言える.以上の結果について,現在,海外学術雑誌へ投稿準備中である.
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Research Products
(1 results)