2011 Fiscal Year Annual Research Report
地下灌漑が水田の土壌環境と窒素動態に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
22880004
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
武藤 由子 岩手大学, 農学部, 講師 (30422512)
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Keywords | 地下灌漑 / 水田土壌 / 窒素動態 / 温暖化ガス / 水田の汎用化 / 酸化還元電位 |
Research Abstract |
本研究は、地下灌漑が水田の土:壌環境(温度・溶質移動・酸化還元電位・pH)と窒素動態に及ぼす影響を評価することを目的としたものである。地下灌漑は近年普及が進んでおり、我が国の食料自給率の向上と水田農業における経営の安定化において期待されている。本研究の内容は、地下灌漑水田における水管理や気象条件の変化に応じた土壌の酸化還元状態と窒素動態の変化を予測するための「圃場調査」・「室内実験」・「数値計算」により構成される。 H23年度は、地下灌漑水田において土壌の水分量モニタリングが計画されていた。しかし今年度、調査圃場(福島県南相馬市)では東日本大震災の影響で作付が行われなかったことから予定していた調査を行うことができなかった。一方、室内実験では還元状態の水田士壌を詰めた一次元カラムを用いて、水の移動過程における土壌の酸化還元電位の変化を調べる実験が計画されていた。昨年度の蒸発過程に引き続き、排水過程についての実験を行い土中水圧と酸化還元電位の変化を測定し、数値解析により排水過程における土壌水分量の変化と酸化還元状態の関係を調べた。実験の結果、排水にともなう土壌中への気相の侵入は蒸発過程と同様に土壌の酸化還元状態の変化に大きなインパクトを与えることが明らかとなった。さらに今年度は、窒素・炭素動態と酸化還元状態の関連を調べるための実験が計画されていた。そこで、同様の実験系を用いて水の移動にともなう溶存酸素・窒素・炭素の供給が酸化還元電位におよぼす影響を調べる実験を行った。その結果から、土壌水の移動にともなう酸素や溶質の移動と土壌微生物活動、土壌の酸化還元状態の変化の関連が説明された。
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Research Products
(1 results)