2011 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイムRIミクロイメージングを利用した植物のリン酸輸送機構の研究
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22880009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 里美 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任研究員 (20586010)
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Keywords | イメージング / 植物 / リン |
Research Abstract |
ストレス耐性付加など植物の環境適応能力を高める効果的な栽培・育種を行うためには、植物体内の複雑な生理分子機構を理解することが必要である。そこで、遺伝子の発現と機能をGFPにより非破壊で解析するように、植物体内のイオンや化合物を非破壊で解析できれば植物のストレス環境応答の理解に活かせると考えている。本申請者は、これまで非破壊での物質イメージング解析を行う実験系の確立および分子生物学的知見と結びつけた総合的な解析を進めてきた。今回、このイメージング原理を応用し、分解能を向上し細胞間レベルの物質輸送解析を進めることを目的としている。 23年度は、22年度の研究により改良したリアルタイムRIミクロイメージングシステムにより、植物サンプル(シロイヌナズナ)のリン酸動態解析実験を行った。まず、シロイヌナズナ野生型株の根を用いて、栽培時のリン酸栄養環境の違いにより生じる根のリン酸吸収分布を調べた。これにより、リン酸欠乏条件下で栽培したサンプルでは、根端約200μm領域での蓄積が見られ、リン酸潤沢な条件下では見られず、リン酸条件により根端の機能の違いが生じることが示された。さらに、パルス的に吸収させた^<33>Pの挙動解析では、根端への蓄積が数十分後に生じていたことから、根端に蓄積しているリン酸は、培地からの吸収のみではなくその他の組織から根端への輸送によっても生じることを確認した。次に、フランスCNRS/CEA/Aix-MarseilleのNussaume博士より提供を受けた6つのリン酸トランスポータ機能を制御した形質転換体の根のリン酸分布、動態を解析した。GFPにより分かるリン酸トランスポータの分布とリン酸分布について4つのラインで相関が見られた。
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