2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22880024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 充 九州大学, 農学研究院, 助教 (70584209)
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Keywords | 食相乗性 / ペプチド / 血管機能 / エピガロカテキンガレート |
Research Abstract |
本研究では、これまでの機能性食品の主流であった1成分による1疾病対応型研究を覆し、多成分混合系である食品でこそ達成可能な機能、すなわち複数成分による相乗的疾病予防作用を明らかにすることを目的とした。本年度は、ラット大動脈血管を用いた低分子ペプチドの相乗的弛緩作用発現の実証とその作用機序の解明を試みた。SDラット由来胸部大動脈血管において、内皮依存的な弛緩作用を示すエピガロカテキンガレート(EGCg:300μM)がTrp-Hisによる血管弛緩作用を相乗的に増強(Trp-His単独EC_<50>:2.80±0.05mM,EGCg併用時EC_<50>:0.45±0.04mM)することが示された。さらに、本相乗効果は内皮除去血管及び70mM KCl(脱分極)刺激血管において完全に消失することから、本作用には内皮由来血管弛緩性因子あるいは過分極シグナル系が関与すると考えられた。そこで、EGCgの血管弛緩作用に主体的に関与すると考えられるNO/cGMP系シグナルの関与を検討したところ、eNOSの阻害剤である(L-NMMA:100μM)あるいは、血管弛緩性因子であるcGMPの産生に関わる可溶陸グアニル酸シクラーゼ(sGC)の阻害剤(ODQ:10μM)存在下において、Trp-His/EGCg相乗的弛緩作用は完全に消失した。さらに、EGCg添加によりCa^<2+>チャンネルブロッカーであるNifedipine(電位依存性L型Ca^<2+>チャンネルにおいてTrp-Hisと同様の部位に結合)の弛緩作用が顕著に増大されたことから、Ca^<2+>チャンネル阻害を介したTrp-Hisの血管弛緩作用が、EGCgの誘導するNO/cGMP系シグナルの賦活化により相乗的に増強されると考えられた。 以上本研究は、複数食品成分による相乗的な機能増強作用を明らかとしたものであり、新たな機能性食品開発戦略の基盤となる成果であると考えられる。
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