2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22880027
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井上 謙吾 宮崎大学, IR推進機構, 助教 (70581304)
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Keywords | 鉄還元細菌 / 芳香族化合物 / ダイオキシン / 嫌気性細菌 / 環境汚染物質 / 分解微生物 / 環境浄化 / 分解系遺伝子 |
Research Abstract |
ヘテロ環を有する多環芳香族化合物分解能力を持つ鉄還元細菌を取得するため、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンを唯一のエネルギー源・電子供与体とし、不溶性の酸化鉄を唯一の電子受容体となるよう調製した培地に自然界から採取した土壌、河川やダムの底泥、下水などを植種源として添加し、嫌気条件下で集積培養を行った。不溶性の酸化鉄は還元されると磁鉄鉱に変化し、黒色化して磁性を有するようになるので、培養後、磁鉄鉱の形成を磁石で確認できたサンプルについては、その一部を新しく調製した培地に植え継いだ。この植継作業を最低4回繰り返し、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、それぞれ34、20、4種の基質資化性鉄還元菌を含むサンプルを得た。現在、これらのサンプルについて、それぞれの基質を含む寒天プレート上に播種し、そこに形成されたシングルコロニーから、鉄還元性の基質分解菌の単離作業を行っている。これまでのところ、カルバゾールを電子供与体としたサンプルからは、シングルコロニーの周りにクリアゾーン(カルバゾールの低水溶性を利用して白濁した寒天プレートを用いており、カルバゾールが分解されると透明になる)を形成するものが得られている。これまで嫌気的にカルバゾールを分解する微生物の単離例は無いため、本研究により得られた株が新規代謝系及び新規遺伝子・酵素を持つ可能性が高い。また、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンについても嫌気的な分解代謝系の研究例はなく、本研究で得られている分解菌(叢)から別の嫌気性分解代謝経路とそれ関わる新規遺伝子・酵素が見出される可能性がある。
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