2011 Fiscal Year Annual Research Report
種の多様性と物質循環を考慮した放牧草地の生態系管理手法の創出
Project/Area Number |
22880031
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
鈴木 由美子 北里大学, 獣医学部, 助教 (60583036)
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Keywords | 放牧地 / リモートセンシング / 全地球測位システム / 地理情報システム / 草地植生 / 行動解析 |
Research Abstract |
草地および家畜管理を適正に実行するためには,放牧草地生態系の各構成要素の機能および特性を理解し,要素間の相互関係を解明することが必要となる。近年,放牧草地生態系の観測・評価にリモートセンシング(RS),全地球測位システム(GPS)および地理情報システム(GIS)が活用され始めてきた。しかし,パッチ上に分布する放牧草地内の構成草種の多様性や草量の不均一性を把握することは困難である。そこで本研究では,種の多様性や物質循環を視野に入れた放牧草地維持管理技術の考案を目的として,(1)高い地上分解能のRSによる植生情報の推定,(2)GPSによる家畜個体の行動観察,および(3)放牧草地のGISの開発について検討した。北海道大学北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場内の放牧地に設けた4つの牧区を調査対象とした。地上分解能および波長分解能が高いRSシステムによる植生情報の推定では,構成草種判別および草量推定が高い精度で実行できた(構成草種判別率:80.3%,草量推定モデル決定係数:0.71)。さらに,これらの結果から,草地内の植物種および草量の空間的不均一性を捉えることができた。家畜個体の行動観察では,GPSとバイトカウンタを装着させた家畜を一定時間放牧させることで,牧区内の採食位置,バイト数の変動を特定することができた。家畜の採食位置は,個体により異なる分布しており,嗜好性の差に起因する個体差が影響していると考えられた。植生および家畜行動を総合的にみると,イネ科牧草とマメ科牧草が混在する領域で主に採食している傾向があった。また,このことは放牧前後の草量の差から求めた推定採食量からも明らかとなった。
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