2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス生産能力向上におけるショ糖リン酸合成酵素の有効性の実証
Project/Area Number |
22880036
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
廣津 直樹 東洋大学, 生命科学部, 准教授 (40584389)
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Keywords | ショ糖リン酸シンターゼ / 染色体断片置換系統 / イネ / FACE |
Research Abstract |
本年度は、コシヒカリのOsSPS1を含む染色体領域をカサラス型染色体に置き換えたCSSL系統[CSSL(SPS)]を用い、OsSPS1遺伝子発現解析を行った。 まず、幼苗期におけるOsSPS1発現レベルおよび生育速度を比較した結果、幼苗期ではCSSL(SPS)の生育速度はコシヒカリに対して大きく、OsSPS1発現レベルはコシヒカリに対して約2倍高かった。 次に、水田に設置したリング内のCO_2濃度を外気よりも約200ppm高く制御した開放系大気CO_2増加(FACE)圃場(FACE区)と通常大気CO_2濃度圃場(Ambient区)でコシヒカリおよびCSSL(SPS)を栽培し、FACE効果およびCSSL効果によるOsSPS1発現レベルおよび生育の影響を調べた。栄養成長期と出穂期に最上位完全展開葉の葉身をサンプリングし、OsSPS1の遺伝子発現レベルをリアルタイムPCR法により測定した。その結果、栄養成長期のOsSPS1発現レベルはコシヒカリとCSSL(SPS)とで有意な差は見られなかったが、FACE区のOsSPS1発現量がAmbient区に対して有意に増加していた。一方で、出穂期におけるOsSPS1発現レベルはどの実験区においても差は見られなかった。これらのことより、CSSL効果によるOsSPS1の遺伝子発現レベル増加は、幼苗期のみ現れることが明らかとなった。また、高CO_2濃度条件下においてOsSPS1の遺伝子発現レベルが増加するということが、圃場レベルで明らかとなった。 CSSL効果と高CO_2効果の相乗効果によって、収穫期における草丈はFACE区のCSSL(SPS)において最大となった。将来の高CO_2濃度環境下においてイネのバイオマス生産を高めるために、OsSPS1の遺伝子発現レベルを増加させることが有効であることが示唆された。
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