2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA定量法を用いた新たな細根バイオマス量の測定手法の開発
Project/Area Number |
22880040
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
鵜川 信 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 研究員 (30582738)
|
Keywords | 細根バイオマス量 / リアルタイムPCR / DNA抽出効率 / スキムミルク / アロフェン / 単回帰分析 / 推定誤差 |
Research Abstract |
現行の細根バイオマス量の測定手法には、作業に時間がかかること、樹種の判別が困難なこと、生死の判定が主観的であることの3つの問題がある。これら3つの問題を同時に解決する方法として、DNA量から回帰式を用いて細根バイオマス量を推定することが考えられる。本研究では、DNA量から細根バイオマス量を推定する手法の実用性を確保するため、「土壌と細根の混合試料からのDNA抽出効率の確保」、「回帰直線における推定誤差の評価」、「細根断片サイズが推定誤差に与える影響の評価」を行った。「土壌と細根の混合試料からのDNA抽出効率の確保」では、土壌と混合した細根について、鉱質土壌に含まれる粘土鉱物がDNAを吸着するため、DNA抽出効率が著しく低くなる問題が発生した。この問題を解決するため、DNA吸着を阻害するスキムミルクを添加し、DNA抽出効率がほぼ100%に改善することを確認した。このDNA抽出効率の改善方法は、粘土鉱物アロフェン、モンモリロナイト、カオリナイト、イライトのそれぞれを多く含む鉱質土壌で有効であった。「回帰直線における推定誤差の評価」では、改良したDNA抽出法を用い、細根バイオマス量とDNA量(CT値)の間の回帰直線を作成し、その推定誤差が小さいことを確認した。また、「細根断片サイズが推定誤差に与える影響の評価」では、3つの細根断片サイズ(粉末、1cm断片、5cm断片)の細根0.15~2.40mgについて、DNA量のばらつき(分散)を調べ、いずれの断片サイズ間でも推定誤差が一様であることを確認した。すなわち、細根0.15mg以上では、細根組織間のDNA密度の不均一性が平均化されることを明らかにした。以上3つの視点において、提案する手法の実用性を確保した。
|