2011 Fiscal Year Annual Research Report
尿酸排泄トランスポータBCRPのジスルフィド結合に着眼した痛風発症機構の解明
Project/Area Number |
22890003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小倉 次郎 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (20580640)
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Keywords | 痛風 / キサンチンオキシダーゼ / 活性酸素 / トランスポータ / ジスルフィド結合 |
Research Abstract |
痛風は、高尿酸血症に引き続きおこる生活習慣病で、激しい関節痛を生じ、さらには高血圧や腎臓病などの発症リスクを高める。このため、患者のQOL低下が著しく、効果的な治療法並びに予防法の確立が強く望まれる疾患のひとつである。2009年、排出系トランスポータであるBCRPが高容量性の尿酸輸送担体であることが示され、痛風発症の原因遺伝子であることが報告された。しかしながら、その発症機構は明らかとされておらず、効果的な予防法も確立されていない。痛風発症頻度は年齢に相関して増加することが知られており、加齢による何らかの生体変化が痛風発症に関連すると考えられる。そこで本研究では、加齢による活性酸素産生の増大に着目し、高容量性尿酸排泄トランスポータBCRPへの影響を検討することとした。加齢による活性酸素の増大はキサンチンオキシダーゼ活性化に由来することから、キサンチンオキシダーゼの基質であるキサンチンおよびヒポキサンチンを用いて、BCRP発現量への影響をS-S結合形成に着目して検討した。その結果、ヒト消化管モデル細胞であるCaco-2細胞においてキサンチンはBCRP発現量を増大させたが、BCRPホモダイマー量は変化しなかった。また、ヒポキサンチンはBCRP発現量に影響を与えなかったが、BCRPホモダイマー量は減少した。さらに、BCRP S-S結合形成を全BCRP発現量に対するホモダイマー量の比により評価したところ、両基質により低下していることが明らかとなった。一方、ヒト正常腎細胞由来HK-2細胞においてはキサンチン、ヒポキサンチンともにBCRPのS-S bond形成に影響を与えなかった。以上のことから、キサンチンオキシダーゼ活性化は小腸のBCRP S-S結合形成を低下させる一方、腎臓のBCRPには影響しないことが示唆された。、尿酸は腎臓から2/3が、小腸から1/3が排泄されることが知られているが、BCRPは腎臓に比べ小腸に多く発現している。本研究の成果は、痛風発症における小腸からの尿酸排泄の重要性を示唆する成果と考えられる。
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