2010 Fiscal Year Annual Research Report
進行肝芽腫のDNAメチル化解析による予後予測分子マーカーの確立
Project/Area Number |
22890008
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本多 昌平 北海道大学, 北海道大学病院, 医員 (90588089)
|
Keywords | 肝芽腫 / DNAメチル化異常 / 予後予測分子マーカー |
Research Abstract |
本研究は、進行肝芽腫の治療効果および予後を規定する分子マーカーをDNAメチル化異常の観点から探求するために、遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化解析を網羅的におこない、進行肝芽腫において特異的にメチル化率の高い候補癌抑制遺伝子を同定することによって肝芽腫の予後予測因子となる分子マーカーを確立することを目的としている。 平成22年9月に研究活動スタート支援に採択され、まず北海道大学病院にておこなわれた肝芽腫手術症例の臨床病理学的背景および治療効果・予後を調査した。病理組織診断を見なおし、いずれの症例においてもパラフィン包埋切片からの再切り出しが可能であることを確認した。そこで、肝芽腫は病理組織学的に異なる胎児型と胎芽型がしばしば同一腫瘍内に混在し、胎芽型では有意に悪性度が高い(Haas JE, et al.1989 Cancer)ことに着目し、胎芽型肝芽腫と胎児型肝芽腫をmicrodissectionによって厳密に分別して、それぞれから得られたDNAをもちいて遺伝子プロモーター領域の網羅的メチル化解析をおこなう方針とした。現在microdissectionによって均一な組織型の領域からDNAを抽出し解析する検体の調整を終え、網羅的メチル化解析に進む段階である。これまでの研究では様々な組織が混在した肝芽腫腫瘍組織から一様に核酸抽出し解析しているため、同じ正常(胎児)肝細胞から異なる生物学的特性(組織型、悪性度)を有する癌に至る過程が、特異的な癌抑制遺伝子のDNAメチル化異常に依存しているかを解明できないでいた。肝芽腫の組織型とDNAメチル化異常との相関に関する研究はこれまでになく、本研究の意義・目的である肝芽腫予後予測分子マーカーの確立に貢献しうる重要な過程と位置づけている。
|