2010 Fiscal Year Annual Research Report
PTH/PTHrP受容体シグナルによるコンドロイチン硫酸の低硫酸化と軟骨組織異常
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22890009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和田 悟史 北海道大学, 北海道大学病院, 医員 (20581119)
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Keywords | 軟骨組織異常 / コンドロイチン硫酸の低硫酸化 / PTH/PTHrPシグナル / 細胞外基質合成異常 / 軟骨細胞の増殖・分化 |
Research Abstract |
軟骨組織の分化形成において、副甲状腺ホルモン(PTH)および副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)およびその受容体(PTH/PTHrP受容体)は重要な役割を果たす。PTH/PTHrP受容体の遺伝子変異は、系統疾患の中でも高頻度に軟骨異形成症を発症させる。軟骨異形成症について遺伝子発現の解析は進んでいるが、細胞外基質の病理組織異常については未解明である。本研究は軟骨細胞の増殖分化に対する影響、特に細胞外基質の合成にフォーカスをあてながら組織化学的に検索を進め、軟骨異形成症の異常を細胞外基質の視点から解明することを目的とする。平成22年度はBALB/c-bm/bmマウス(bm/bmマウス)の頭蓋骨の組織切片を作成し、免疫組織化学的検討を行った。bm/bmマウスは硫酸化グリコサミノグリカン濃度が低いため軟骨合成が低下して軟骨異形成様の異常を示し、先天的に短肢症を生じる。そのうち約10%が左右的交叉咬合を自然発症する。この原因として頭蓋底の前後的成長抑制による上下顎前歯の機能的側方偏位が生じ、それは顎顔面頭蓋部のgrowth siteである蝶後頭軟骨結合部の軟骨小柱構造の崩壊に起因していると考えられている。そこでその原因として軟骨組織のコラーゲンの発現に異常が生じていることを疑い、細胞外基質であるII型コラーゲンとX型コラーゲンの発現の検討を行った。bm/bmマウスの蝶後頭軟骨結合部ではII型コラーゲンおよびX型コラーゲンの発現が不規則に認められ、その発現は軟骨基質には認められず、軟骨細胞質のみに限局していた。特にX型コラーゲンの発現は軟骨細胞質にわずかにしか認められなかった。このことより、MMPなどの細胞外基質分解酵素の活性阻害、および軟骨細胞が肥大化軟骨細胞に分化できない可能性が考えられた。今後はPTH/PTHrP受容体シグナルが細胞外基質に与える影響を検討する予定である。
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