2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸化的骨格転位反応を用いたスピロアミナール構造を基軸とするアルカロイドの合成研究
Project/Area Number |
22890013
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植田 浩史 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (50581279)
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Keywords | 酸化-骨格転位カスケード反応 / haplophytine / isoschizogamine / Friedel-Craftsアルキル化 / アミナール骨格 |
Research Abstract |
本年度は、当グループで独自に開発した酸化-骨格転位カスケード反応を用い、高度に縮環した多環性高次構造アルカロイドhaplophytineやisoschizogamineの合成研究を行った。Haplophytineの収束的合成研究において、既に申請者はAgNTf_2を用いた新たなFriedel-Craftsアルキル化反応の方法論を確立することで、これまで誰も実現できなかった両ユニットの直接的カップリングに成功した。しかし、鍵とする酸化-骨格カスケード反応において、右ユニットであるアスピドスペルマ骨格がアミノ基を有し、酸化条件に不適合なことがわかった。現在、本問題を解決すべく、様々な酸化条件の検討や基質の設計を行っている。具体的な戦略立案として、空気酸化を用いた温和な酸化条件の開発を視野に入れている。 Isoschizogamineの合成研究においては、まず鍵となる酸化-骨格転位カスケード反応により、ビシクロ[3.3.1]骨格を有する主要な四環性骨格を立体選択的に構築することを目的とし、合成研究に着手した。鍵反応の基質となる1,2-ジアミノエテン合成の際の問題点として、これまでのアリール基に代わる4a位への置換基導入が挙げられた。つまり、インドリン構造を保持する目的で、合成終盤での水素へと変換可能な置換基を4a位へ導入する必要があった。そこで、申請者は安定なアリル基を導入することで、本問題点を解決することができた。続く鍵段階では、これまでの条件と同様にmCPBAを酸化剤として用いたが、低収率に留まった。その後の検討により、酸化剤としてジメチルジオキシランを作用させることで、円滑に望むカスケード反応は進行し、アミナール骨格を有する主要な四環性骨格を立体選択的に構築することに成功した。この結果、本転位反応が有効であることがわかり、今後の全合成が期待される。
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Research Products
(5 results)