2010 Fiscal Year Annual Research Report
臨床における実践的な看護アドボカシーに関する構成概念の構築
Project/Area Number |
22890025
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 千夏 山形大学, 医学部, 助教 (50582566)
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Keywords | 臨床 / 看護師 / アドボカシー / 文献の動向 |
Research Abstract |
実践に即した看護アドボカシーの構成概念を構築することを目的とし、第1段階として、1996年以降から現在までの、臨床における看護師を対象とした看護アドボカシーに関する全文献を整理し、研究の動向を明らかにした。検索は医学中央雑誌を用い、キーワードは、「看護師」「アドボカシー(患者の権利擁護)」とした。臨床に焦点をあてることから、「看護学生・教育」「地域看護・福祉」領域の文献を除いて検討し、検索した文献は、文献数、年次推移、対象、対象の領域、研究目的の内容について分析した。 検索された文献は全部で186件であり、年次推移では、1996年から2001年までが10件以下であった。日本では、看護の倫理や患者の権利が重視され始めたのは最近の事であり、臨床の場にアドボカシーが十分浸透していない状況が示唆された。対象については、看護師85件、患者75件、対象の種類が複数12件、文献・記録物10件、助産師、患者の家族がそれぞれ2件であった。文献の領域については、「精神的支援」や「癌・終末期」が多い傾向にあった。臨床では、精神的に不安定な状態や心身共に過酷な状況等で、患者自身での判断が困難とされる場合に、特に権利擁護の必要性があると考えられていることが示唆された。研究目的の内容では、「自己決定・意思決定」が54件と最も多く挙げられた。しかし「自己決定・意思決定」以外にも11項目が挙げられており、「その他」が40件と単一的なものも多かった。このことから、日本では、臨床におけるアドボカシーについて統一的な見解には至っておらず、その理解は様々であるという現状が示唆された。
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