2011 Fiscal Year Annual Research Report
臨床における実践的な看護アドボカシーに関する構成概念の構築
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22890025
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 千夏 山形大学, 医学部, 助教 (50582566)
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Keywords | がん患者 / 治療方法の自己決定 / アドボカシー / 看護師 / がん診療連携拠点病院 |
Research Abstract |
本研究では、がん診療連携拠点病院における看護師のがん患者の治療方法の自己決定に関するアドボカシーの具体的な行為の認識と実践を明らかにし、がん患者の治療方法の自己決定に関するアドボカシーの構成概念を構築することを目的とした。調査方法は、郵送法による自記式質問紙調査とし、調査期間は2012年1月~3月とした。調査内容は、看護師の属性、先行研究の中から抽出されたがん患者の治療方法の自己決定に関するアドボカシーの具体的な行為56項目における看護師のアドボカシーとしての認識および実践とした。また56の質問項目については6段階評定で回答を求めた。がん患者の治療方法の自己決定に関するアドボカシーの具体的な行為56項目の実践については因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行い、抽出された各因子において、看護師の認識との差をWilcoxonの符号付順位検定を用いて分析した。結果、有効回答数は478名(23.5%)であり、看護師の属性は、男性12名(2.5%)、女性466名(97.5%)、平均年齢は35.0歳(±9.4)であった。がん患者の治療方法の自己決定に関するアドボカシーの具体的な行為56項目の実践の因子分析では、「患者の主体性の尊重」、「患者と家族との間の仲介」、「患者が治療方法を正しく理解するための支援」、「患者と医師との間の仲介」、「がん専門の医療者を含めた合同カンファレンスの調整」の5因子が抽出された。また、抽出された5因子において、看護師の認識と実践との差を分析した結果、5因子すべてにおいて、認識に比べ実践の方が有意に低い結果となった(P<0。001)。以上のことから、看護師は、がん患者の治療方法の自己決定に関するアドボカシーの5つの因子について、看護師によるアドボカシーだと認識はしていても、その実践については、十分に行えていないという現状が示唆された。
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