2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスシグナルによって制御される核内受容体Nurr1の生理機能解析
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22890031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 悠介 東京大学, 大学院・薬学研究科, 特任研究員 (00583981)
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Keywords | ストレス / シグナル伝達 / 核内受容体 / ASK1 / p38 / Nurr1 |
Research Abstract |
本研究は、ストレスによって活性化するASK-p38MAPキナーゼシグナル伝達系が、核内受容体であるNurr1をどのように制御し、その結果どのような生理応答を誘導しているかを明らかにすることを目的としている。これまでの研究から、Nurr1が過酸化水素刺激によって、ASK-p38シグナル依存的にリン酸化されることを明らかにしていた。我々は当初、Nurr1の転写因子としての機能に着目し、過酸化水素刺激時にNurr1の転写活性化能が変化するか否かの検討を行ったが、顕著な変化はみられなかった。しかしながら、おもしろいことに、HeLa細胞に過酸化水素を処置すると、通常核に局在するNurr1が、核外に移行することを見いだした。このNurr1の核外移行は、転写因子としての核内での働きとは別の役割を有することを示唆している。Nurr1と同じく核内受容体NR4Aファミリーに属するNUR77はTPAなどの刺激依存的に核外に移行し、ミトコンドリアに局在して、アポトーシスを誘導することが知られている。ASK1-p38シグナル伝達系も、酸化ストレス依存的な細胞死に必要であることから、過酸化水素刺激によるNurr1の核外移行と細胞死の関連について検討を行った。HeLa細胞において、過酸化水素刺激によって誘導される細胞死は、ASK1ノックダウン、p38の阻害剤、Nurr1のノックダウンによって抑制されたことから、酸化ストレス依存的な細胞死にASK-p38-Nurr1系が寄与していることが示唆された。Nurr1の核外移行の細胞死における役割について今後さらに詳細に検討することで、酸化ストレス依存的な細胞死誘導機構の解明につながるものと期待される。
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