2010 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞非対称分裂におけるホスファチジルイノシトールの特異的脂肪酸組成の意義の解明
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22890032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今江 理恵子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60584000)
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Keywords | 非対称分裂 / ホスホイノシチド |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトール(PI)は、PI(3)PやPI(4,5)P2、PI(3,4,5)P3などのホスホイノシチド(PIPs)に変換され、PIPs結合ドメインを有するタンパク質を膜にリクルートすることで、様々な生理機能を発現する。acl-10変異体およびipla-1変異体では、どのPIPsを介して非対称分裂に異常が生じているのかを明らかにするために、PIPs代謝酵素を網羅的に発現抑制し、これらの変異体と同様の異常を示すものをスクリーニングした。その結果、PI(4)P 5-kinase[PI(4,5)P2の産生酵素]、PI 3-kinase[PI(3)Pの産生酵素]の発現抑制によって、非対称分裂に異常が生じることが明らかになった。この結果から、acl-10変異体およびipla-1変異体において、PI(4,5)P2、PI(3)Pなどが、影響を受けているPIPsの候補であると考えられる。 また、acl-10変異体およびipla-1変異体では、どのような分子機構で非対称分裂の異常が引き起こされているのかを明らかにする目的で、これらの変異体の表現型を抑圧するサプレッサースクリーニングを行った。現在までに4つのサプレッサー遺伝子についてマッピングが終了している。このうち2つの遺伝子は、エンドソームからゴルジ体への逆行性小胞輸送に関与する分子をコードしており、残りの2つの遺伝子は、リン脂質代謝に関わる分子をコードしていることが分かった。この結果から、PIの脂肪酸組成は、逆行性小胞輸送や特定のリン脂質代謝を介して非対称分裂を制御していることが示唆された。今後、これらのサプレッサー遺伝子の解析を進めるとともに、さらにサプレッサー遺伝子のマッピングを進め、PIの脂肪酸組成が非対称分裂に与える分子機構の全体像を明らかにしていく。
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Research Products
(3 results)