2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂質異常症の個別化医療を指向した消化管ステロール吸収の性差とその分子機構の解明
Project/Area Number |
22890033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 義英 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20582018)
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Keywords | 発現制御 / 消化管吸収 / 胆汁排泄 |
Research Abstract |
本研究では、消化管コレステロール吸収ならびにコレステロール胆汁排泄を制御するNPC1L1に焦点をあて、消化管・肝臓におけるNPC1L1発現量の性差ならびにその分子機構を解明すべく検討を進めてきた。本年度は、昨年度までに得られた消化管コレステロール吸収効率の男女差(女性>男性)の結果を踏まえて、NPC1L1の発現量が女性ホルモンにより制御を受けるか否かin vitroにおいて検証を行った。エストロゲンレセプターα(ERα)を発現するアデノウィルスを構築し、内因性にNPC1L1が発現しているHepG2細胞に感染させてERα発現細胞を作出した。この細胞を用いて、女性ホルモン(エストロゲン)によるNPC1L1発現量の変動を解析したところ、NPC1L1のmRNA量はエストロゲン負荷により有意に上昇した。これはNPC1L1の発現量が女性ホルモンにより正の制御を受けることを示唆するものであり、消化管コレステロール吸収効率の男女差(女性>男性)を説明する重要な知見である。 コレステロール胆汁排泄に関する新たな知見として、胆汁中に分泌されるコレステロール結合蛋白質NPC2がコレステロール排出輸送担体ABCG5/G8の活性促進因子として機能し、コレステロールの胆汁排泄を正に制御することを見出した。これは今まで未解明だった胆汁中NPC2の機能を明らかにした点で生理学的に意義が大きい。NPC1L1やABCG5/G8の発現量に加えて、新たに、NPC2の発現量(分泌量)が消化管コレステロール吸収ならびにコレステロール胆汁排泄における性差の原因因子として考えられ、今後の検証課題として挙げられた。
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