2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚悪性リンパ腫におけるケモカイン、ケモカインレセプターの関与の検討
Project/Area Number |
22890044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮垣 朝光 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50582003)
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Keywords | 皮膚T細胞リンパ腫 / CCL2O / IL-17 / IL-22 / CCR6 / Th22 / CCL18 / 予後解析 |
Research Abstract |
私は昨年に引き続き、ケモカインCCL20、その受容体CCR6及びCCL20を誘導するサイトカインであるIL-17A、IL-22の皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症、Sezary症候群)の病変部における発現をrealtime RT-PCR法にて調べた。昨年報告したELISA法、免疫組織化学染色の結果と矛盾せず、CCL20、CCR6、IL-22の発現は上昇していたが、IL-17Aの発現は上昇していなかった。IL-17Aにより誘導されるサイトカインであるIL-20の発現は上昇しておらず、IL-22により誘導されるサイトカインであるIL-10の発現が上昇していることも確認することができた。以上より、皮膚T細胞リンパ腫の病態にはTh17細胞ではなく、Th22細胞が関与している可能性が強く示唆された。これによりIL-22などをターゲットとする治療が今後の治療の選択肢になりうると考えられた。 また、上記以外にケモカインの一つであるCCL18に関して検討した。皮膚T細胞リンパ腫の患者の血清中ではCCL18濃度が上昇しており、免疫組織化学染色、real time RT-PCR法にて、病変部皮膚においても発現が上昇していた。血清中CCL18濃度は皮膚T細胞リンパ腫の病勢マーカーであるLDH、slIL-2R、mSWATと相関していた。さらに、血清中CCL18濃度は過去に皮膚T細胞リンパ腫で上昇していることが報告されているケモカインであるCCL17、CCL26と有意に相関しており、種々のケモカインが協調して病態に関与している可能性が示唆された。また、血清中CCL18濃度高値の患者は低値の患者と比較して、有意に予後が悪いことが確認できた。以上より、CCL18は皮膚T細胞リンパ腫の病態に関与しており、新たな治療のターゲットとなる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)