2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890049
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鵜沼 香奈 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (30586425)
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Keywords | 情動ストレス / connexin43 / α-アドレナリン受容体 / 細胞間情報伝達 |
Research Abstract |
地震などの自然災害による情動ストレスが、交感神経の過緊張を介して心臓性の突然死の発症率を増すことが知られている。私は既に、情動ストレスの代表的モデルであるラット身体拘束(不動化ストレス)において、心筋Cx43が介在板に転移し、隣接細胞間情報伝達(gap junctional intercellular communication;GJIC)の活性が上昇する事を報告した。さらに、GJ阻害剤投与によって、身体拘束を施したラットの一部にQT延長、心室性期外収縮発現頻度の上昇から、心室頻拍、心室細動などの不整脈が誘導されることが分かった。そして、今回私はCx43の介在板への転移が、α-アドレナリン受容体依存性である事を新たに見出した。一方、身体拘束モデルのみでは心室性期外収縮の発生頻度は上昇するが、致死性不整脈が惹起されることはなく、身体拘束による交感神経系の過緊張とカテコラミン分泌を介して心筋細胞間の情報伝達が変化し、心室性期外収縮の発生頻度が上昇したと考えられ、これがβ-アドレナリン受容体依存性に起こっている事を新たに見出し報告した(Unuma K,Circ J 2010;74(12):2693-2701)。以上をまとめると、本研究では、情動ストレス負荷ラット心筋細胞の介在板において、心筋の協調運動やホメオスターシスを司る細胞生物学的因子とされるGJ-Cx43量が、α-アドレナリン受容体依存性に上昇し、かつGJIC活性も増加するという新しい知見が得られた。さらに、情動ストレス負荷ラットでは、頻脈とカテコラミン放出増加があるが、これらはβ-アドレナリン受容体依存性に起こっている事を明らかにした。これらについて、現在H9c2培養細胞を用いて、直接的なアドレナリン受容体刺激を行って、in vivoの系と比較し、より詳細な分子機構を検討している。
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