2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890058
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東堀 紀尚 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50585221)
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Keywords | 口唇裂 / エピジェネティック / ヒストン / メチル化 / 矯正 |
Research Abstract |
環境因子であるレチノイン酸を過剰に摂取すると口唇裂・口蓋裂が発症することは、古くから知られている。我々は、胎生3.5日のニワトリ胎児の鼻窩へレチノイン酸を過剰投与させ口唇裂を発症させた。その際、我々は生体内でエピジェネティックな変化が生じているのではないかという仮設をたて、その変化を検討することとした。2000年頃よりエピジェネティックな変化にピストンの修飾が重要だと考えられ始め、その修飾する酵素が発見された。それらの修飾酵素は、DNAメチル化酵素、脱メチル化酵素とは異なり、特定の部位を認識し修飾することがわかっている。本研究ではまず、遺伝子発現の抑制に関わっているピストンH3の9番目のリジンへのヒストンメチル化酵素および脱メチル化酵素の発現がレチノイン酸によって増減しているかどうかを検討した。胎生3.5日にレチノイン酸を含んだビーズを鼻窩へ入れ過剰投与させ48時間後に胎児の前鼻突起および上顎突起(口唇はこの2つの突起が癒合することによって生じる)からRNAを抽出した。尚、コントロールはDMSOを含んだビーズを用いた(DMSOでは口唇裂は発症しない)。抽出したRNAからcDNAを作成し、real-timePCRを行った。ターゲット遺伝子は、ピストンH3の9番目のリジンをメチル化するヒストンメチル化酵素と脱メチル化するピストン脱メチル化酵素、およびインターナルコントロールのGAPDH、計9種の変化をみた。結果は、すべてのヒストンH3の9番目のリジンに対するヒストンメチル化酵素および脱メチル化酵素に有意な変化は認められなかった。以上のことより、レチノイン酸によるエピジェネティックな変化は、他の部位を認識するヒストンメチル化酵素もしくは脱メチル化酵素が関与していることが示唆された。
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