2011 Fiscal Year Annual Research Report
古細菌の細胞分裂におけるESCRTの役割の理解を目指した構造生物学的研究
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22890071
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
帯田 孝之 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (30578696)
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Keywords | ESCRT / 細胞分裂 / X線結晶構造解析 / NMR / 古細菌 |
Research Abstract |
目的:古細菌の細胞分裂におけるESCRTタンパク質の役割の理解に繋がる構造生物学的研究を行う。古細菌のESCRTタンパク質は、Vps4、ESCRT-III、CdvAの3つのタンパク質からなり、既に申請者らの研究によりVps4とESCRT-IIIが古細菌の細胞分裂に重要な役割を果たしていることが示されている(Samson,Obita et al, Science, 2008)。本研究では、第3のESCRTタンパク質としてCdvAに着目し、他のタンパク質や脂質等との相互作用を明らかにしていくことで、細胞分裂におけるESCRTタンパク質の役割の理解を目的とした。 成果:まず、CdvAの二つのドメインのうち、βドメインについて結晶構造を得ることに成功した。これはPRCバレル構造をもち、ダイマーを形成していることがわかった。次に、CdvAのヘリカルドメインの結晶化を行い、様々なコンストラクトを検討することで、良質な結晶を得ることに成功した。最終的に、ヘリカルドメインの結晶構造の決定に成功し、3本のヘリックスからなる新規ドメイン構造であることがわかった。また、結晶中でヘリカルドメイン同士はら旋状に相互作用しており、そのら旋の直径は約90Aと、電子顕微鏡を用いて既に報告されているCdvA線維の直径と一致していた。このことより、CdvAは膜上でら旋状の線維構造を形成していることが考えられ、そのことがCdvAの機能にとって重要であると考えられる。今後は、CdvAのら旋状繊維構造が細胞分裂においてどのように働いているのかを調べていく予定である。
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