2011 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍抑制遺伝子及び神経発生制御因子としてのDRR1の機能解析
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22890080
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
牟 萍 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (10584675)
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Keywords | 腫瘍抑制 / 神経発生 / DRR1 |
Research Abstract |
1.神経芽腫における腫瘍抑制遺伝子としての機能神経芽腫細胞株に対してDRR1を強制発現すると、細胞の増殖は抑えられることは分かった。また、NB39に対してはDRR1をノックダウンすると、低い血清による細胞分化は抑制されることが認められた。さらに、我々はtumorsphereの分化を誘導し、RT-PCRで分化された細胞におけるDRR1の発現を検討した。分化前の細胞と比べると、分化された細胞においてDRR1の発現は上昇したことを明らかにした。 2.神経系の発生・維持に対する制御機能免疫染色によって初代培養の海馬神経細胞において、DRR1はデンドライトと軸索に局在することが認められた。また、DRR1をノックダウンすると神経突起は短くなることが認められた。これらの結果、DRR1は神経突起の形成に対する影響がある可能性を示した。3.質量分析による結合タンパク質のスクリーニングTMOD2(tropomodulin2)は脳内におけるDRR1と物理的に結合するタンパク質として同定した。この結果をHela細胞を用いて、TMOD2-flagとDRR1-mycを共発現させて、免疫沈降で確認された。また、初代培養海馬神経細胞においてTMOD2の局在を検討した。その結果、TMOD2はDRR1と共局在することが認められた。 本研究は、機能がほとんど未知の遺伝子であるDRR1について分子レベルの解析を行い、腫瘍抑制遺伝子としての神経芽腫への関与と、神経系発生・維持における役割を明らかにした。腫瘍抑制と神経系の発生・維持との間で、DRR1の働きは共通しているのか、あるいはそれぞれに特異的な作用機構が存在するのか、この点を明らかにしてDRR1の機能を理解することで、神経系の発生イベントと関係が深いと考えられている神経芽腫の発生メカニズムにも示唆が得られると考えている。
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