2010 Fiscal Year Annual Research Report
短鎖ペプチド-インテリジェント化担体を用いた、小口径人工血管の開発
Project/Area Number |
22890081
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
桑原 史明 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60584761)
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Keywords | small caliber vascular graft / trimer peptide / biodegradable polymer |
Research Abstract |
開存性に優れた小口径人工血管の開発には、迅速な内皮化および新生内膜肥厚の制御が求められる。今回、我々が独自開発した「ペプチドアレイ法」を応用し、内皮細胞の接着特異性が高く、かっ平滑筋細胞の接着特異性が低い短鎖ペプチドを探索し、見いだしたペプチドを付与した小口径人工血管の開発を試みた。内皮細胞床的な存在の血管基底膜の主成分である細胞外マトリクス:IV型collagenにのみ存在する3残基配列の短鎖ペプチドの内、内皮細胞に対して特異性が高く、平滑筋細胞に低いCAG(Cysteine-Alanine-Glycine)配列を見いだした。生体吸収性ポリマーのε-polycaprolactoneをelectrospinning法で紡糸し、直径0.7mmの超小口径人工血管を作製し、SDラットの頚動脈に人工血管置換術を施行した。von Willebrand因子免疫染色、走査電子顕微鏡による内皮観察では、CAG含有の人工血管において内皮細胞接着性が優れており、新生内膜の肥厚は認めなかった。またWesternblot analysisでは、eNOS、thrombomodulinが経時的に増強し、そのintensityはCAGを含有しない人工血管に比較して、CAGを含有する人工血管に強い傾向にあった。平滑筋のマーカーであるα-Smooth Muscle Actin、calponinタンパクの発現についてはCAG含有人工血管において弱い傾向にあった。この結果から、我々の発見したCAG配列は、早期の内皮化と新生内膜肥厚の抑制効果を発現した。今後はさらにCAG配列以外の、各種特徴を持ったtrimer peptideの開発を続けるとともに、さらに大動物に対する人工血管移植手術に向かい、最終的には臨床応用を目指したい。
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