2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹田 有加里 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (20582159)
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Keywords | 生理学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
膵β細胞のインスリンの分泌は血糖濃度に応じて発生する活動電位や細胞内Ca2+濃度の周期的変動で調整されている。腸管から分泌されるGLP-1(インクレチン)はβ細胞のcAMPを上昇させ、PKAやEpacの活性化からインスリンの分泌を相乗的に増加させる重要なホルモンであるが、その経路には細胞の多くの要素が複雑に関与していて総合的なメカニズム解析は依然として困難である。そこでβ細胞に基づいた実験データを数理細胞モデルに組み込み、細胞機能をコンピュータ上に再現し、インクレチン刺激による活動電位や細胞内Ca2+の変動に関与する細胞内各要素の役割とその寄与の大きさを総合的・定量的に解明することを目的とする。前年度には、まずGLP-1シグナル伝達経路モデルを構築しシミュレーションで実験結果を再現することで、GLP-1刺激時のcAMP制御機構を解明した。さらに、PKAやEpacをモデルに組み込むことで、GLP-1刺激によるPKAやEpacの活性も見積もることができた。当該年度は、まず、このインクレチンシグナル伝達モデルをβ細胞モデルに実装し、β細胞モデルのL-type Ca2+チャンネル、Kvチャンネル活動のPKA依存性とKATPチャンネル活動のEpac2依存性をモデル化することで、GLP-1刺激時のバースとの発火頻度と持続時間が上昇する現象を再現することができた。また、PKA・EPACによる細胞内カルシウムの制御をモデル化するため、小胞体のSERCAモデルを構築した。次にリアノジンチャンネル(RYR)やIP3レセプターモデルを構築すれば、数理細胞モデルレベルでのシミュレーション実験や数値解析によって、GLP-1刺激による活動電位や細胞内Ca2+濃度の周期的変動の総合的・定量的な解明が可能となる。
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