2010 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞の遺伝子治療戦略を可能とする非ウイルス型ベクターの開発
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22890088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀田 秋津 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (50578002)
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Keywords | iPS細胞 / 遺伝子導入 / 血友病A / サイレンシング |
Research Abstract |
本研究では、先天的血液凝固異常症である血友病Aに対して、ヒトiPS細胞を利用した遺伝子治療アプローチを開発する事を将来目標として、長期間安定に高いレベルで発現を維持する非ウイルス型遺伝子導入ベクターの構築を進めている。本年度では、EGFPを組込んだレポーター発現ベクターを作成し、ヒトiPS細胞への遺伝子導入条件最適化を行った。その結果、リポフェクション試薬を用いれば20%程度、Neonトランスフェクション・システムを用いることで40%程度のヒトiPS細胞へ外来遺伝子導入が可能となった。ベクターはピューロマイシン薬剤耐性遺伝子を搭載しているため、薬剤選択で99%以上の細胞での発現も確認された。また、EGFPを発現するプロモーターを5種類検討した中で、ヒトiPS細胞においてEF1aプロモーターの発現活性が最も高いことが判明した。さらに、ベクターを導入した後にヒトiPS細胞を長期培養してフローサイトメトリーでEGFP発現を経時観察した所、ある程度の割合でEGFP発現の低下が見られたものの、数ヶ月以上に渡って長期発現を維持可能であることを見出した。これは、ヒトiPS細胞などで急激な発現抑制を受けるレトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターと比較しても優れた特徴であり、今後、新規の遺伝子治療用のベクターとしての可能性を示唆するものである。これらの結果を受けて、血友病Aの原因遺伝子である血液凝固第八因子のBドメイン欠損型および全長のcDNAをEF1aプロモーターの下流にクローニングしたベクターを構築した。現在は第八因子の発現およびタンパク質活性測定を進めている所である。
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