2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890091
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑田 啓貴 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (60380523)
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Keywords | 感染症 / 免疫学 / 微生物学 / 細菌 |
Research Abstract |
結核菌脂質を標的としたCD1拘束性メモリーT細胞応答の存在と感染防御における重要性が明らかとなり、脂質ベースの新しい抗結核ワクチン開発が必要とされている。従来の研究は、モルモットなどの小動物モデルの解析にとどまっており、ヒトとの免疫系の相違から、ヒト結核制御の具体的な方策は確立されてこなかった。本研究課題では、アカゲザルを用いたワクチン効果の検証を行い、新しい抗ヒト結核脂質ワクチンの実現に向けた基盤の確立を目的とした。結核菌細胞壁を構築するミコール酸糖脂質に対するCD1拘束性メモリーT細胞応答依存的に、結核防御に重要なTh1免疫応答反応が誘導されることから、ミコール酸糖脂質標的免疫応答が感染防御に有効であると予想された。本年度、以下の研究を展開した。1、抗酸菌の一種Mycobacterium avium complex(MAC)を標準液体培地で培養し、菌体回収後、総脂質の抽出を行った。総脂質をシリカゲル薄層クロマトグラフィーに展開し、目的分画を回収し、展開-分画回収操作の繰り返しにより、糖脂質標品を得た。2、高純度のミコール酸糖脂質を得た後、ミコール酸糖脂質のリポソーム化を行った。申請者の研究室では、ミコール酸含有糖脂質をオクタアルギニン含有リポソームに組み込んだ。3、次に、アカゲザルを用いてミコール酸糖脂質による免疫誘導能の評価を行った。リポソーム化ミコール酸糖脂質をアカゲザルの下腿皮膚に投与し、一定期間後に採決を行い、末梢血中のミコール酸特異的T細胞の存在を、ELISPOT法により検証した。その結果、ミコール酸糖脂質特異的な活性化T細胞の存在を確認した。 以上、霊長類モデルを用いた特異的免疫誘導効果の検証により、抗酸菌ミコール酸糖脂質のワクチンとしての可能性が高いことを明らかとした。
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