2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890091
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑田 啓貴 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (60380523)
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Keywords | 感染症 / 免疫学 / 微生物学 / 細菌 |
Research Abstract |
結核菌脂質を標的としたCD1拘束性メモリーT細胞応答の存在と感染防御における重要性が明らかとなり、脂質ベースの新しい抗結核ワクチン開発が必要とされている。本研究課題では、サルを用いて、in vivo感染モデルを構築し、新しい抗ヒト結核脂質ワクチンの実現を目指したワクチン効果の検証を行った。まず、結核菌細胞壁ミコール酸糖脂質のCD1拘束性メモリーT細胞応答依存的に、結核防御に重要なTh1免疫応答反応が誘導されることから、ミコール酸糖脂質標的免疫応答が感染防御に有効と予想した。昨年度は、このミコール酸糖脂質を用いて、サルに免疫を行い、IFN-gammaの発現誘導を確認した。本年度は、以下の研究を展開した。 抗酸菌由来の精製糖脂質をリポソーム化し、アカゲサルへの皮下投与し、ミコール酸糖脂質特異的なT細胞応答を検出した。特異的T細胞の存在はELISPOT法により検証した。検証に必要なツールとして、CD1bとミコール酸からなるテトラマーの開発を行った。この時、使用するミコール酸の種類には長鎖と短鎖が存在するが、短鎖の方が効率的にT細胞を標識することができた。 また、ミコール酸の投与方法について検討した。プライミングの段階において、高純度に精製したミコール酸を用いる場合と比べて、BCG菌体にミコール酸を高発現させた株を用いた場合の方がより強く免疫応答を惹起できることが明らかとなった。 サルにおける抗原提示細胞の解析を行うため、末梢血からマクロファージおよび樹状細胞を誘導し、結核菌糖脂質の抗原提示能を検討した。抗原提示分子CD1a,b,cはいずれも、M-CSFあるいはGM-CSF/IL-4の誘導によって発現上昇が認められた。これらの細胞とT細胞を共培養することにより、IFN-gammaの発現誘導が認められたことから、マクロファージおよび樹状細胞の両方が抗原提示に関わっていると考えた。 以上のデータを基に、引き続きより高率ワクチンの開発を進めていきたいと考えている。
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