2010 Fiscal Year Annual Research Report
ファンコニ貧血修復経路を分子標的とした脳腫瘍アルキル化剤の増感効果の検討
Project/Area Number |
22890095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 夏子 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (00582131)
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Keywords | ファンコニ貧血 / テモゾロミド(TMZ) / 塩酸ニムスチン(ACNU) / DNA修復路 / 悪性グリオーマ |
Research Abstract |
悪性脳腫瘍の治療効果の向上を目指し、ファンコニ貧血[Fanconi anemia(FA)]修復経路がアルキル化剤のテモゾロミド(TMZ)および塩酸ニムスチン(ACNU)の増感の分子標的候補となるかどうかを明らかにすることを目的とした。そのために、ノックアウトマウスから確立されたMEF細胞FANCA-/-、FANCC-/-、FANCD2-/-、Chinese hamster ovary細胞由来のFANCD1mt、Chinese lung fibroblast細胞由来FANCGmtおよびそれぞれの親株細胞を用いて、TMZ、ACNUを培地中に添加して3時間、37℃処理し、コロニー形成法にて生存率を算出した。それぞれの細胞のD_<50>(50%生存率の薬剤濃度)を正常型のD_<50>と比較し、%表示した相対的D_<50>値を用いて細胞間で比較検討した。その結果、FANCGmt、FANCD1mtのTMZの相対的D_<50>値は13.3%、4%を示した。FANCGmt、FANCD1mtのACNUの相対的D_<50>値は10%、5.7%を示した。相対的D_<50>値はTMZおよびACNUでFANCD1mtが最小となった。FANCD1はグリオブラストーマをTMZおよびACNUで治療する際の増感の標的候補となることが示唆された。このことから、薬剤の増感の標的となるFANCD1のsiRNAを、ヒトグリオブラストーマA172細胞に導入し、TMZおよびACNUによる殺細胞効果が増感するのかを検討する。
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