2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性神経障害に対する新規治療ターゲットに関する研究
Project/Area Number |
22890107
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 潔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40576279)
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Keywords | Icmt / 小脳顆粒細胞 / mTOR |
Research Abstract |
本研究の目的は蛋白のメチル化酵素の一つであるIsoprenylcysteine carboxyl methyltransferase (Icmt)の神経系への作用に注目し、その機能解明と難治性神経障害の治療薬への応用を検討することにある。すでに、脊髄小脳変性症にてIcmtが低下することが報告されているが、Icmtが神経細胞にどのような影響を及ぼすのかは未だ判明していない。よって、本年度は、Icmtの機能の抑制が神経細胞にどのような影響を与えるかを調査することとした。まず、Icmtの抑制を行うためのsiRNAの配列を文献的に検索を行った。同時に、ラットの小脳顆粒細胞を採取し、その初代培養を行った。過去の報告から、Icmtの下流に存在すると予想されるmTORの働きに注目し、LY294002、Akt inhibitor、rapamycinなどの前後のシグナルのインヒビターを初代培養中に加え、72時間培養後の神経軸索突起伸展を計測した。この結果、前後のシグナルを抑制することで神経軸索伸展が有意に抑制される結果となった。またこの際のシグナルの活性化をウエスタンブロッティング法によって同定したところ、Akt,mTOR、p70S6Kなどのプロテインキナーゼの活性が上昇していることが判明した。以上の結果から、Icmtの機能が、神経軸索伸展に影響を与える可能性があることが判明し、Icmtの機能解明が難治性神経障害の病態解明と治療につながる可能性が示唆された。
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