2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890110
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
道上 郁美 大阪大学, 大学院・歯学研究科, リサーチアシスタント (80589771)
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Keywords | KLF / Runx2 / オステオカルシン / 骨形成 / 骨芽細胞 / 石灰化 / Wnt |
Research Abstract |
本研究は、骨芽細胞に特異的にKrUppel-Like Factor 4 (KLF4)を発現するトランスジェニックマウスを作製し、その表現型を解析するとともに、in vitroにおけるKlf4による骨芽細胞の分化制御作用を調べることにより、転写因子Klf4の骨芽細胞ならびに骨格の形成に対する作用機序を検討したものである。 本研究のトランスジェニックマウスは、Klf4をすべての骨芽細胞に持続的に発現しており、その結果、骨芽細胞分化が抑制され、膜性骨化により生じる扁平骨では骨化の遅延が生じた。さらに、in vitroにおいてKlf4の発現を過剰、過少いずれの状態にしても骨芽細胞の分化が抑制されたことから、このKlf4による分化抑制は骨芽細胞自律的な作用であることが示唆された。また、in vitroにおいてKlf4が、canonical Wnt経路により誘導されるAxin2の発現を誘導し、なおかつTCFレポーターベクターであるTOP-flashとAxin2のレポーターベクターであるAxin2-lucを活性化したこと、canonical Wnt経路を活性化すると初代骨芽細胞の分化が抑制されたことから、Klf4によるcanonical Wnt経路の活性化が骨芽細胞分化抑制の一端を担う可能性が示唆された。また内軟骨性骨化により生じる長管骨においては、破骨細胞浸潤および血管進入が阻害され、一次骨化中心ならびに骨髄腔が形成されなかった。トランスジェニックマウスにおける Ocn の誘導部位と破骨細胞の局在が一致しており、またin vitroの結果よりKlf4がオステオカルシンを転写レベルで制御していることから、軟骨膜における Ocn の発現上昇と軟骨細胞におけるMmpの発現低下により、破骨細胞浸潤および血管進入が阻害されたと考えられた。以上のin vivoおよびin vitroで得られた結果は、Klf4が骨形成において,Klf4自体の発現が組織特異的かつ時期特異的に制御されることによって,骨芽細胞の分化だけでなく,内軟骨性骨化に関与する血管内皮細胞や破骨細胞の遊走をも制御することを示唆している。このことは、骨格の形成におけるKlf4の作用とそのメカニズムを明らかにし,正常な骨格の形成機序を理解する上で重要な示唆を与えるものである
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Research Products
(7 results)