2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミュータンス連鎖球菌の糖輸送関連遺伝子がバイオフィルム形成に与える影響について
Project/Area Number |
22890123
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木村 智子 徳島大学, 病院, 助教 (20581367)
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Keywords | 歯学 / う蝕 / 細菌 / 遺伝子 / バイオフィルム |
Research Abstract |
Streptococcus mitansの主な病原因子であるバイオフィルム形成ならびに酸産生にはスクロースが深く関与している。スクロース輸送機構の一つであるホスホエノールピルビン酸依存ホスホトランスフェラーゼ系(PEP-PTS)においてスクロースを菌体内へ取り込むのに必須な酵素をコードするscrA遺伝子の役割を明らかにし,バイオフィルム形成との関連を解明していくことは,う蝕の発症メカニズムを探る上で重要である。S. mutans UA159株を親株として作製したscrA遺伝子改変株を用いた解析の結果では,scrA遺伝子がや菌の初期付着バイオフィルム表層の構造に関与していることが不された。そこで,バイオフィルムの構成成分であるグルカンの合成に関与するgtfB,gtfCおよびgtfD遺伝子と,グルカン分解に関与するdexA遺伝子の発現量を測定し,比較検討した。 親株とscrA遺伝子改変株をBHI液体培地および5%スクロース含有BHI液体培地で培養して回収しRNAを抽出後,逆転写反応にて得られたサンプルを用いてリアルタイムPCR法による遺伝子発現量の測定を行った。 対数増殖期のscrA遺伝子改変株のmRNA発現量を親株と比較したところ,glfB遺伝子は親株の約54%,gtfD遺伝子は親株の約36%まで減少した。定常期の改変株においてはgtfB,gtfC遺伝子の発現量が大きく減少し親株の約15~25%となり,gtfD遺伝子においても約61%まで減少した。また,スクロース存在下で培養した定常期の菌において,dexA遺伝子の発現量が約16%に減少した。 この結果より,scrA遺伝子がグルカンの合成に関与している可能性が示唆された。
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