2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規アディポカインD-ドーパクロムトートメラーゼの発現および作用機序に関する研究
Project/Area Number |
22890124
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石本 恭子 徳島大学, 病院, 診療支援医師 (60579952)
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Keywords | DDT / CD74 / ERK / 前駆脂肪細胞 |
Research Abstract |
当該研究初年度では、新規アディポカインとして同定したD-dopachrome tautomerase (DDT)の前駆脂肪細胞での作用機序の解明を目的とし、DDT受容体およびシグナル伝達系の検討を行った。リコンビナントDDT (rDDT)を前駆脂肪細胞に作用させると、ERK経路を介して、炎症性サイトカイン(IL-6等)の発現が増加することから、脂肪細胞から分泌されたDDTが前駆脂肪細胞に作用し、これらの作用機序を介して、脂肪細胞分化を抑制している可能性が考えられる。そこで、DDTの作用機序の詳細を解明するため、前駆脂肪細胞に発現する可能性がある受容体候補をsiRNAによる遺伝子発現抑制系を用いて解析した。DDTはMIFと三次構造が類似することから、その受容体候補として、MIF受容体のCD74およびCD44に着目した。CD44の発現抑制細胞ではrDDTによるIL-6 mRNA量上昇作用が認められたが、CD74の発現抑制細胞では、rDDTによるIL-6 mRNA量の上昇作用が認められなかった。この結果より、DDT受容体はMIF受容体と同様にCD74を構成蛋白の一つとするが、CD44は構成蛋白ではないことが示唆された。また、DDTのシグナル伝達系の解析では、ウェスタンブロット法によるAkt、p38、PKC、PKAのリン酸化状態を検討したが、いずれもリン酸化状態に変動は認められなかった。これらの結果から、DDTは前駆脂肪細胞に対し、CD74-ERK経路を介して、炎症性サイトカイン発現を亢進させることが示され、DDTの脂肪細胞分化抑制作用がCD74-ERK経路の活性化と関連する可能性が示唆された。
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