2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 純 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (70582708)
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Keywords | Kv1.3 / Kv1.5 / カリウムチャネル / ミクログリア / ミノサイクリン |
Research Abstract |
本研究の目的は、海馬を中心とした神経回路におけるカリウムチャネルの発現を免疫組織化学的・電気生理学的に解析することを通して、カリウムチャネルが脳機能を支えるメカニズムの一端を明らかにすることである。前年度まで研究で、電位依存性カリウム(Kv)チャネルのサブユニットであるKv1.3とKv1.5は、正常な脳内でほとんど発現がないことがわかった。一方で、カイニン酸痙攣マウスの海馬CA1・CA3領域や舌下神経軸索切断マウスの舌下神経核に出現する活性化ミクログリアに特異的に発現していた。そこで本年度は、カイニン酸痙攣マウスと軸索切断モデルを用いて、ミクログリアに発現するカリウムチャネルの機能的な意義を検討した。ミクログリアにおけるKv1.3およびkv1.5の発現時期は、神経細胞死が起こる時期と一致していた。また、ミクログリアにおけるKv1.3およびkv1.5の発現時期は、障害性ミクログリアのマーカーであるリン酸化p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(p-p38 MAPK)の発現時期と一致していた。さらに、ミノサイクリンの投与は、ミクログリアにおけるKv1.3とKv1.5、p-p38 MAPKの発現レベルを低下させるとともに、傷害に伴って生じる神経細胞死を抑制した。以上の結果は、ミクログリアに発現する電位依存性カリウムチャネルが、神経細胞の脱落に関与する可能性を示唆するものである。また本研究の結果は、Kv1.3およびKv1.5の阻害薬が、神経保護薬として作用する可能性を示唆している。
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