2010 Fiscal Year Annual Research Report
一塩基多型解析による肝移植後再発肝炎に対する抗ウイルス療法の革新的効果予測
Project/Area Number |
22890132
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 昇 九州大学, 医学研究院, 客員助教 (80419580)
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Keywords | C型肝炎再発 / 生体肝移植 / 1塩基多型解析(SNP) / インターフェロン療法 / IL-28B / SVR / レシピエント / ドナー |
Research Abstract |
申請書に記載しましたC型非代償性肝硬変に対する生体肝移植レシピエント及びドナーの組織を用いたIL-28B領域の一塩基多型解析を分子生物学的手法を用いて施行しました。実施計画書に沿って 1.肝移植レシピエントの摘出肝及びドナー肝生検組織から抽出したゲノム解析を施行し、IL28周辺SNPはレシピエント、ドナーいずれも肝移植後HCV再発に対するIFN感受性と高い相関を認めました。つまりレシピエント、ドナーでいずれもSNPがない症例ではインターフェロン奏功率90%以上であるのに対して、いずれかのSNPがある群では約50%のインターフェロン奏功率であり、さらに両方のSNPがある群ではインターフェロン奏功率は0%という結果が得られました。次にこの機序の解明として 2.レシピエントの摘出肝、術中のドナー肝生検組織より抽出したtotal RNAを用いて定量PCRを行いSNP有無とIFNλカスケードの下流であるISGs(ISG15、OAS、PKR等)mRNA発現量を検討したところ、ISGI5、OAS、PKRいずれもSNPがある症例で有意に高値でした。つまりSNPがある群ではIFNλのカスケードが関与をしており、そのことがインターフェロン治療に対する奏功率に影響を与えていることが証明されました。これらの結果は所属当科より報告しましたGastroenterology2010等にありますように、英文誌に報告をさせていただきました。また、C型肝硬変等に対する生体肝移植医療についても同時に全国学会にて積極的に報告させて頂いています。今後は実施計画書に沿いながら、さらなる解析を進めていく予定です。
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