2010 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌抑制効果を有する特異的間質細胞の同定および新規膵癌治療法の開発
Project/Area Number |
22890133
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森山 大樹 九州大学, 大学院・医学研究院, 共同研究員 (70586859)
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Keywords | 外科 / 細胞・組織 / 発現制御 |
Research Abstract |
膵癌は癌死の5位を占めながら現在でも100人中3人しか根治しない疾患であり、その治療法および診断法の開発は、社会的要請度・貢献度・緊急性が高い。近年、癌治療効果を高めるには、癌細胞だけでなく癌周囲を取り巻く間質細胞も含めて治療する必要性があることが明らかになってきた。とくに、膵癌は固形癌の中でもとりわけ豊富な間質構造を有しているため、癌間質相互作用が、膵癌の浸潤・転移・治療抵抗性などに強い影響を与えている。本研究は膵癌と膵間質に存在する膵星細胞(以下、PSC)との癌間質相互作用に着目し、PSCの中でも膵癌の進行を促進、ないし抑制する特定の細胞集団を同定、解析することを目的としている。本年度は以前より行っていた膵臓癌組織からのPSC樹立を更にすすめ、膵臓癌のみならず良性腫瘍や正常膵組織からも40種類以上のPSCを所有するにいたった。樹立した細胞の解析をrtPCRやフローサイトメトリー,Auto-MACSなどを用い、CD10,CD29,CD34,CD44,CD54,CD105,CD117,CD271,Stro-1,c-Met,MSCA-1などの間葉細胞や内皮性幹細胞マーカーを用いてすすめた。申請者らはすでに表面抗原CD133により分取した膵癌細胞の浸潤が膵線維芽細胞との共培養によって著しく促進されたことを報告しているが、本年度は表面抗原CD10により分取したPSCが膵癌細胞の浸潤を著しく促進することを報告した(Gastroenterology,2010)。これは特定のPSCを治療標的とすることで、癌の進行が抑制される新しい治療法の開発につながりうるものである。他の表面抗原の発現状況解析も進んでおり、癌浸潤を促進するPSCだけでなく抑制するPSCの同定を目指している。
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Research Products
(3 results)